俺が夢を叶えた理由
パパイヤやパッションフルーツなどの南国フルーツも切り、木でできたおしゃれな皿に盛り付ける。その時、ハウルが起きてきた。

「おはよう……」

目をこすりながらキッチンにやって来たハウルは、ふわりとくるみを背後から抱きしめる。

「ハウル、朝ご飯作れないよ」

身動きが取れず、困るくるみに御構い無しにハウルは抱きしめる力を強くする。そしてくるみの匂いを嗅いだ。

「くるみいい匂い。それに温かいし、このまま寝ちゃいそう……」

ブラジル人はスキンシップが多い。初対面でもキスを挨拶でしたりする。ハグやキスは当たり前だ。小学生の頃ブラジルに住んでいたくるみはまだハグなどには慣れている。しかし、これでは作業ができない。

「ハウル……」

くるみがポンポンとハウルの腕を軽く叩くと、ハウルはやっとくるみを離してくれた。くるみは胸を高鳴らせながら作業を続ける。

「今日の夜はベルナルドの家で婚約パーティーか……」

ハウルがコーヒーを飲み、呟く。コーヒーを飲んだので完全に目は覚めたようだ。

ベルナルドはハウルとくるみの友達で、ハウルと同じくサッカー選手だ。恋人にプロポーズをした記念のパーティーが今夜は開かれる。
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