俺が夢を叶えた理由



それから一ヶ月後、歌番組を見ていたくるみはハウルに話しかけられた。

「Voce esta livre na sextaーfeire?(今度の金曜日、空いてる?)」

金曜日は、くるみの誕生日だ。ハウルは真剣な表情でくるみを見つめる。くるみは首を縦に振った。

「……よかった」

ホッとした表情でハウルはくるみの頭を撫でる。くるみの頭にクエスチョンマークが浮かんだが、ハウルの手の心地よさに目を細めた。

「おいしいレストランにでも行かない?夜景がきれいに見えるところを見つけたんだ」

「とってもステキ!」

くるみは夜景を見るのが好きだ。普段は大きな街が、おもちゃ屋に並ぶミニチュア家具のように見える。そして、一つ一つの建物の明かりが煌めき、別世界を見ているように感じるからだ。

「じゃあ決まりだな。俺、その日は取材が入っているけど夕方には終わるから。きれいな格好してね」

「楽しみにしてる」

去年の誕生日は、家でハウルがご飯を作ってくれた。くるみの大好物の親子丼を練習して作ってくれた。
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