sugar*honey
第一章 Bar. RutilQuartz

恋路十六夜

下り坂。

自転車のタイヤが悲鳴をあげる。少しづつブレーキをかけながら、左へと旋回。

目の前に広がった夕焼けに、遥か遠くの港の水面がキラキラと反射していた。

僕は、そんな景色が纏った秋の肌寒い風を頬にうけながら、自転車を操って細い路地へと滑り込ませる。

鍵もかけず、すぐ横にある螺旋階段を昇りながら何気なく携帯を開く。

5時15分。

丁度いい時間。

ただ…いつもよりちょっと早めだ。
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