sugar*honey
『もしもし。…真子か。』

ママと他愛ない会話をしていたとき、カウンターにあるケータイが震えた。
ケータイから、ちょっとだけイラついた声が届く。

『映人??今どこにいるのよー。映人ん家に行ったのに、おばさんが映人は帰ってない、っていうんだけど。』

『今?……図書館。』

『本当ー?どこの?アタシ、映人に話したいことが…』

『ごめん。図書館だから切るわ。また後でかけ直すから。』

『ちょ…映人!』

いっきに切って、電源まで落としてやる。

今頃ケータイ片手に真子は憤ってんだろーけど、しるか。
放課後位自由にしてくれ。

『なぁに?女の子?』

『女の子ってか…まぁそうっすね。腐れたカンケーの。』

クスッ、とカウンターの向こうで美恵子さんは笑った。
どこにツボったのかわからないけど、しばらく細い肩を上下に揺らしている。

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