sugar*honey
中年男…小山 典明はカウンターに座ったきり、そわそわしながら周りを見渡している。

『ママなら今はお直し中。そんなそわそわしなくてももう少しでくるよ。』

『…まったく、お前は………。』

小山さんは苦笑いしてゆったりと背もたれにもたれた。

聞きたかった癖に。
小山典明は、美恵子さん目当てに通うウチの常連客。

そして、大会社の代表取締役の独身男だ。

丁寧にセットされた髪と高級スーツに寄ってくる女は多かれど、彼はママしか《本気》相手にならないらしく、片っ端から蹴り歩いている。

ママは…気づいているのかいないのか、上手に小山さんを扱って毎日のように店にかよわせている。


『この間、幸雄さんからいい店知らんかって言われたんだ。』

『…ここで親父の名前出さないで下さいよ。』

『ここに連れてこようかとおもったけど、やめといたよ。』

『冗談でもそういう事いわないでよ、《おじさん》。』

『おいおい、俺まだ36だぞ。』

『僕16だけど。』

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