それは線香花火のような
女性陣の肉食加減は僕の予想以上だった。
彼女はいないということを確かめた女性陣は、即座に彼の週末の予定を押さえ、新人君と女性陣四人で花見に行ったらしいのだ。
もちろん、LINEは交換済み、清水さんと新人君は花見の日からずっと毎日LINEが続いており、電話をするときもあるのだという。
週明けに清水さんと新人君に報告をされたとき、僕は「そうでしたか、楽しかったですか?」と微笑んで返すほかなかった。
そして、その週の金曜日、清水さんは新人君と飲みに行くので西村くんもついでに良かったら行かないかと誘ってきた。
去年、早速清水さんと最も親しい飲み仲間の地位を築いたと思ったが、新年度になって二週間目でその地位は奪われ、ついでの男になったことに一瞬脱力したが、特段嫌な気持ちにはならなかった。
飲み屋で飲んでいる際、新人君が席を外すと、早速清水さんの恋愛相談が始まった。
「山下くん、第一印象は顔が結構好みでいいと思って、花見の時にはすごく話も面白くて。アパートが近いことも分かって、家の近くまで送って行ってくれて優しいし。ありがとうってLINE送ったらずっと返事くれるからずっと続いてるの。彼女いないって言ってたし......」
ばーかそんなので惚れるとか高校生かよ。これだからモテないのに結婚ばっかり夢見てる女は......。
酒に酔った思考はそのまま、笑顔を貼り付けた胸の内で吐き捨てたが、「彼、仕事も真面目だし、好青年って感じだからいいんじゃないですか」と言っておいた。清水さんが背中を押して欲しがっているのも手に取るようにわかる。
山下くんが再び席に戻ってくると、清水さんは待ってましたとばかりに彼の恋愛事情を探り出した。清水さんのあまりの前のめりさに僕は少しだけ引いてしまった。