それは線香花火のような
「俺、男だけど西村さんに憧れます。一年しか違わないはずなのに、西村さんは色んな人に頼られてて色んなことをご存知だし、課内のエースって感じです。一年後、西村さんみたいになりたいです」
山下くんが今度はやたら褒めてきて尊敬の目を向けてくるため、僕は居心地悪くなって酒をあおった。
「まあ、自分に指導した清水さんの方が何倍もすごいけど」
僕は真っ直ぐに褒められたことがやたら恥ずかしくなって顔を背けた。顔が熱くなっているのはきっと酒のせいに違いない。
お開きになり、二次会の話になったが、僕は断って早々に帰ることにした。去年、二人で飲みに行っていた時には二次会なんて無かったし、清水さんは僕が決して二次会に行かないことを知っている。本当に苛つかせる女だ。
二人して薄っぺらで残念そうな表情を作るくらいなら、最初から僕を誘うな、僕を褒めたりなんかするなとなぜかイライラした気持ちで別れを告げた。