追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「かまいません! 僕のヤマかけがなければ試験に臨めないなど、それこそが根本的に間違っているのです。そうして、学びとは卓上で得るばかりではないのだと、遅ばせながら僕は気付いた! それを気付かせてくれたのはアイリーン、君です! 人生は日々勉強、僕は今この瞬間から、己の探求心のまま新たな変化を模索します。変化を望まず、驕り高ぶった態度を崩そうとしないリリアーナとは、ここが別れとなるでしょう!」
「……よく分かんないけど、とりあえず明日からの試験はしっかりね」
「そこは当然、抜かりありません」
 ロベールは眼鏡のフレームをスチャッと持ち上げて、レンズ越しの瞳をキラリと輝かせた。

「それでね、ロベールはこの店のストロベリーパイが大層気に入ったみたいで、今度の休みには観光がてら家族で来てくれるんですって」
「取り巻き隊長をしていたロベールが今日来店した事で、これでリリアーナの取り巻きは全員が君に懐柔された事になるな」
 いつも通り閉店の一時間ほど前に来店したカーゴにロベールの来店を伝えれば、カーゴは少し考えるような素振りの後でこんな発言をした。
「やだ、懐柔ってそんな大仰な」
 私はカーゴの物騒な物言いに苦笑したけれど、カーゴは真剣な表情を崩さなかった。
「……今後も通信機は肌身離さず持っていてくれ。なにかあれば、すぐに俺に報せるんだ」

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