追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 ――ブフォッ!
 その瞬間、カーゴが苺クリームを吹き出した。
「大丈夫!?」
「すまない。少し喉に詰まってしまった」
 私が慌てておしぼりを差し出せば、カーゴは受け取ったそれでそっと口元を拭いた。
 カーゴが落ち着くのを待って話を進める。
「私、誓って言える。あの子は『凶悪な毛むくじゃら』なんかじゃない。あの子はちょっと体が大きいだけの、とってもお利口さんなネコちゃんなの!」
 何故かカーゴは、「お利口さんなネコちゃん」の件で再び喉を詰まらせた。
「お冷のお代わりを置いておくわね」
 私にも、なんだか噎せやすい、そんな日がたまにある。私は追加のお冷を置き、静かにカーゴを見守った。
「……ああ、すまない。もう大丈夫だ」
「それで今日、ター坊のお母さんから聞いたんだけど、村の猟銃会が近々にその子の捕獲に動くそうなの。だけど、そんなのっておかしいわ。だってあの子は、なにひとつ悪い事なんてしていない。ねぇカーゴ、私はあの子を守りたいの。そのために私はどうしたらいいと思う?」
「なに、そんなのは君が心配しなくともいい」
 え!? 私は無責任なカーゴの発言に衝撃を受けていた。
「どうしてそんな事が言えるの!? カーゴはあの子を知らないからそんな事が言えるのよ! 本当に大人しくて気の優しい、いい子なの。あの子が銃弾に倒れてしまったら、私はもう生きては……」

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