追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
勢いのまま噛みつくように反論した。だけど話している内に悲しさが勝り、言葉の最後は尻つぼみに掠れた。
涙を滲ませて黙り込んでしまった私に、カーゴは少し驚いたように目を見張る。次いで蕩けるように優しい笑みを浮かべ、私の肩をそっと抱き締めた。
柔らかな温もりが、私をふわりと包み込む。その瞬間、不思議な事にプリンスの毛皮に包み込まれたような錯覚を覚えた。
「アイリーン、泣くな。いや、泣かなくていい」
カーゴは指先で私の目尻を優しく拭うと、キュッと懐に抱き込んだ。
……やっぱり、プリンスの毛皮に埋もれた時と同じ。
もちろん、肌に触れる実際の感触は違うのだ。だけど、心に感じる温もりや安心感、それらがピッタリと同じだった。
「聖獣は疾風の如き速さで駆ける事が出来るから、まず銃弾には当たらない。それに聖獣の毛皮というのは、基本的に外傷を負わんのだ。だからその毛むくじゃらも、万が一撃たれたとしても銃弾には倒れない」
聞かされた言葉は、すぐには理解が追いつかなかった。
「……それはあの子が聖獣だと、そういう事!? どうしてカーゴはそんな事を知っているの!?」
「種を明かせば君同様、俺もヤツとは知らない仲じゃない。その縁で、ヤツの生態も少し把握している。……ただし、これはどうかここだけの話にしてくれ」