追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
カーゴの真意は分からない。だけど告げられた言葉の重みに、意思とは無関係に心が震えた。
「……それってなんだか、夫婦みたいに親密ね?」
騒ぐ鼓動を抑え付け、私は早口に問いかけた。
カーゴは言われてはじめて気付いたとでもいうように、ハッと私を見返して、その頬に朱を散らせた。
カーゴの様子が、私の目にとても好ましいものとして映る。カーゴが無自覚のまま、私に先の感情を抱いてくれたというのなら、こんなに嬉しい事はなかった。
カーゴは揺れる瞳を隠すみたいに、ゆっくりと目を瞑る。再び瞼を開くと、真っ直ぐに私を見つめた。
「時がきたら、今の言葉にもう少し肉付けをさせてくれ」
カーゴの言葉は、望んだものとは少し違っていた。……いや、望む明確な言葉があったのか、私自身よく分かっていなかった。
だけどひとつ、確かな思いが浮かぶ。
「うん、待ってる」
……カーゴの言う『時』が、とても待ち遠しいと思った。