追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「おい! 聞いているのか!?」
……あ、ヤバイ。他所ごとしてたのがバレちゃったかな。あるいは間に合わなくて、ちょこっと笑っちゃってたのかも。
「はい。一応耳は機能しているはずなので」
「ふざけるな!」
私の回答がお気に召さなかったようで、教師は顔を真っ赤にして、戦慄く唇で叫んだ。
……すごい。まるで瞬間湯沸かし器を見てるみたい。
私は不謹慎にも前世の日本で使っていた便利家電を思い出していた。
なつかしいなぁ。こっちではお茶を一杯飲むのだって、焜炉で湯沸かしからだもん。
「もういい! 今回の一件は、学園会議にかけ、処分を決める。それまで自室で謹慎していろ! 行きなさい!」
「……はい」
俯き加減で神妙に答えながら、私は着々と迫る退学の足音にほくそ笑んでいた。
生徒らの低く囁き合う声と、クスクスという笑い声をBGMに、私は足取り軽く教室を後にする。
「フンッ。私に盾突こうとするからこうなるのよ」
今更、生徒たちの騒めきになにを思うでもないけれど、すれ違いざまのリリアーナの囁きと嘲笑には、ちょっとピキンときた。