追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「ずいぶんと帰りが早いな。もうホームルームが終わったのか?」
「うーんっと、……まぁ、うん。そんな事よりカーゴはもう大丈夫なの?」
僅かな逡巡の後、私は答えにくいカーゴの質問をスルーした。そしてさり気なく、質問を被せる。
「昨日の早退からずっと心配していたのよ。体はもう平気なの?」
カーゴは病弱で、よく授業を休む。特に天気が悪い日は体調も優れないようで、昨日に続いて今日も朝から授業を休んでいた。
「ああ、今はもう大丈夫だ。それより、俺のさっきの質問に答えてくれ。まだ、学舎から生徒は誰も出て来ない。なのに何故、君はここにいる?」
……あらら。華麗にスルーしたつもりでいたけれど、残念ながらカーゴは誤魔化されてはくれないらしい。
「何故と言われれば、自室での謹慎を言い渡されたから、かな」
前髪に隠されたカーゴの表情はよく見えない。だけどカーゴは、きっと険しい表情をしているのだろうと思った。
「謹慎になった原因は?」
「うーんっと……」
続くカーゴの問いに、私は言い淀んだ。ただしそれは、告げる事を躊躇したからではない。
私は今回も事実無根の罪を被せられており、その詳細が分かっていなかったのだ。