追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「礼拝堂の清掃当番中に私が何かを壊したのは間違いないんだけど……。担任もかなり怒っていたし、もしかしたら礼拝像を破壊したとか、そんな感じかな? ……いや、さすがにそんな罰当たりな事は誰もやりたがらないか。だとすると、祭壇を壊したんだと思う!」
 私の清掃後に、リリアーナの取り巻きが行った破壊行為……。私が必死に想像力を働かせ、なんとか答えてみせれば、何故かカーゴは呆れたように特大のため息を吐いた。
「俺は時々君の事が分からない。リリアーナたちが君を陥れるために講じる手段は稚拙で、まるで子供だましのようだ。君が本気になれば、それらを退ける事も出来るのではないかと思っている。なのに何故、幾多に渡る不当な追及や断罪を全て甘んじて受け入れる?」
 カーゴの言う通り、私はこれまで受けて来た不当な追及に関して、その根拠となった証言の矛盾点や相違箇所を全て把握していた。
「別に、甘んじてってわけではないんだけど……」
 だけど私に、それらを退ける術はない。もちろん、声を大きくして不当性を主張するつもりもない。何故なら、どんなに足掻いたところで学園追放が覆らない決定事項だと、私は知っているからだ。
 疑念は幼少期から感じていた。そうして十六歳でセント・ヴィンセント王立学園に入学する段になり、私の疑念は確信に変わった。

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