Amor a primera vista
「僕もその本好きなんだ!好きなものが同じとか、やっぱり運命だよね」

「いや、これたまたま読んでいただけよ。まだ買ったばかりだし、別にあなたのためとかじゃないわよ」

ツンデレではなく、心からの言葉をすみれは言う。しかし、キロの耳には届いていないようだ。

「ねえ、日曜日デートしようよ!このレストランの前で九時に待ってる!」

「えっ!?ちょ、ちょっと!!」

すみれは「勝手に決めるな!」と言おうとするが、すでにキロは接客に戻っていた。その横顔はとても嬉しそうだ。

「……どうしよう……」

すみれはコップの水を飲み干し、言った。



キロが強引に決めたとはいえ、行かないというのも失礼だろうとすみれは考え、悩んだ末に行くことにした。

「これであの男みたいなタイプだったら最悪よね……。もしそうだったら、どれだけ男運が悪いのかしら」

すみれは鏡の前で服のチェックをする。強引なデートとはいえ、おしゃれしないわけにはいかない。
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