Amor a primera vista
彼の写真を捨てたすみれは、その足でチリにいる間自分が働く会社へと足を運んだ。挨拶をし、社宅へと案内してもらう。白い壁の小さな家だ。しかし、一人暮らしには十分のスペースだろう。
「明日から早速仕事ね……」
荷物を片付けていると、すっかり暗くなってしまった。今日は疲れていて食事を用意する気にはなれない。
すみれは近くにあるレストランに食べに行こうと立ち上がった。
スマホでレストランを調べ、向かう。花がたくさん植えられた花壇のあるかわいらしいレストランだ。
「Bienvenida!(いらっしゃいませ!)」
黒いレストランの制服を着た男性従業員がやって来た。黒い清潔な髪をしていて、身長は百七十センチほどだろうか。女性客がチラチラ見てしまうほど、顔はクールで整っている。
すみれはじっと男性従業員が自分を見ていることに気付いた。イケメンに見られているとはいえ、ジロジロ見られるのはあまり落ち着かない。
「あの、さっきから何ですか?」