Amor a primera vista
「さっきはごめんなさい!いきなりあんなことされたらびっくりしちゃうよね……。これ、注文したカスエラ!」

コト、と音を立てて皿がすみれの前に置かれる。ふわりといい匂いが漂った。

「あとこれ!」

カスエラの隣に、小さな皿が置かれる。おいしそうなお菓子だ。

「えっ……?これ……」

首を傾げるすみれに、男性従業員はニコリと笑って言った。

「これはサービス!トルテ・ダ・ミルオハスって言うんだ。伝統的なお菓子で、チリ版のミルフィーユかな。パイ生地の間には、マンハールって呼ばれるクリームと細かく砕いたクルミが入ってるよ」

「そ、そう。まあおいしそうだから頂くわ。Gracias(ありがとう)えっと……」

「キロ・ネルーダと言います。あなたは?」

「私は雪村すみれ」

こうして、二人は出会った。



すみれの家から一番近いレストランということもあって、すみれはたまにレストランへ食べに行くことにした。

「すみれ!また来てくれたんだ」

すみれが行くたびに、キロは嬉しそうに笑う。そして、すみれを口説くのだった。
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