Amor a primera vista
「すみれ、今日のオススメはパステル・デ・ハイバだよ〜。あと今日もかわいい!Esa ropa te queda bien(その服よく似合ってるよ)」

「はいはい、ありがとう。仕事きちんとしなさいよ」

キロはレストランで従業員として働くかたわら、歌い手もしている。最近はよくすみれに「日本の歌を歌ってみたよ〜」と言ってくることが多くなった。

すみれもキロがどんな歌を歌うのか気になり、調べたことがある。自国の人気歌手の歌から、洋楽、ボーカロイドなど様々な歌があった。キロの歌声は、まるで少年のようにまっすぐできれいな声だった。そんなことを本人にはすみれは言えないし、キロの歌を聴いていることも秘密なのだが……。

すみれはキロが勧めてくれたメニューを頼み、本屋で見つけたおもしろそうな本を読む。店内には今日はあまりお客がおらず、ピアノのBGMが店内に流れていた。

「お待たせしました〜!ってあれ、その本!!」

見た目も豪華な蟹グラタン、パステル・デ・ハイバを持ってきたキロは、すみれが読んでいる本を見て嬉しそうにする。
< 9 / 15 >

この作品をシェア

pagetop