人生の楽しみ方
 後片付けをして、二人で身支度を整える。君はやっぱり綺麗で、お化粧している姿をじっと見つめる。

 「どうしてそんなに見つめるの?恥ずかしいよ。」

 「ひなが化粧している姿が大好きなんだよ。」

 君は少し微笑む。

 「ひな、好きな指輪を選んで?」

 「うん、嬉しい…。」

 君はワンピースを着ながら優しく頷く。君の指を飾ってやりたい。君の心に相応しい物を。そして、俺の大切な女性だと。気持ちが盛り上がって君を抱き締める。

 「ひな、ありがとう。」

 「どうして?」

 「プロポーズ、受けてくれて。」

 「私こそ、嬉しい。」

 「さぁ、ひなの指に似合う物を探しに行こう。」

 君の薬指を撫でながらどんな物が似合うかなって考える。ダイヤかな、それとも誕生石かな。

 「ひな、誕生石は?」

 「珊瑚。それかアクアマリン。」

 「ひなとは海で会ったから、珊瑚かな。」

 君はくすりと笑って俺の頬を撫でる。

 「安くていいんだよ?」

 「ひなの唇みたいな、真っ赤な珊瑚にしよう。」

 君は少し涙ぐんで。

 「ひな、綺麗にしたのに。」

 「私、幸せ。」

 「昨日からひなは何度も幸せって言ってるよ。」

 君は嬉しそうに微笑んで、俺の頬にキスをしてくれた。
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