人生の楽しみ方
 二人で手を繋ぎながら、表参道を歩く。君は俺のパートナーだと思うと胸が高鳴る。

 「ひな、ここは?」

 小さなお店。でも綺麗な石が置いてありそうなお店だった。店に入って真剣に君の指輪を選ぶ。

 「ひな、この珊瑚はどうかな?」

 「うーん。」

 「やっぱりアクアマリン?」

 君の石を選ぶのはとてもとても楽しかった。君は俺のものだって、言いたかった。

 「アクアマリンがいいな。」

 君は小さく言う。その、控えめな言い方がとても愛おしくて、優しく頷く。

 「ちょっと値段が…。」

 君が欲しい指輪はスクエアの大ぶりのアクアマリンで、確かに少し値が張った。でも、それでも。

 「ひなの指に似合う。」

 「いいの?」

 「いいよ。」

 君は何とも言えない顔をして。嬉しそうに、それでいて泣きそうな。

 「ひな、いいんだよ。」

 店員が気を利かせてリングを差し出す。俺は君の指にそれを通す。

 「これにします。お願いします。」

 「かしこまりました。」

 リングの直しをお願いしながら、君は幸せそうに微笑んでいた。その笑顔を見ながら俺は。大切な預り証を受け取ると、俺達は見送られて店を出た。
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