偽恋人からはじまる本気恋愛！～甘美な罠に溺れて～
今考えると、週刊誌を口実に何もなかったことにする。なんていう浅はかな考えをしていた自分が恥ずかしい。

優香からなんてメールが来ているか確認しようとしたとき、水城さんが部屋に戻ってくる気配がして、私はさっとスマホをバッグにしまった。

「今日は疲れただろう？　先に寝ていてもよかったのに」

雨に濡れたときも思ったけれど、ほんのり湿り気のある髪の毛を下ろした水城さんはすごく扇情的だ。よく見ると肌も綺麗だし、改めて端整な顔立ちをしていると思う。

「水城さんは明日仕事ですか？」

「ああ、そうなんだ。でも、今日は日曜だから君は休みだろう？」

やっぱり社長だから週末とか関係ないんだ……なんだか自分だけ休みなんて悪いな。

時刻はすでに０時を回って日付が変わっていた。ずいぶん長い間水城さんと一緒にいるような気がする。

「午前中の予定は全部午後に調整したから平気だ。少しゆっくりしたいし、君と」

髪の毛を掻き上げてにこりと笑う。そんな仕草だけでも胸がときめいてしまう。

本当に、本当に水城さんと恋人になれたんだ……。

いまだに彼と結ばれたなんて信じられない。そんなことを思っていると、水城さんはベッドに入って、私を誘うように布団を開いた。

「ほら、おいで」

「は、はい……」

緊張しながらモソモソと布団に入ると、ぎゅっと抱きしめられた。
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