偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
それにしても水城さんの腕、あったかいな……。

生まれて初めての腕枕に幸せをひしひしと感じていると、水城さんが「ところで……」と話しを切り出す。

「君は妹さんの“姉妹入れ替わり”になぜ応じたんだ?」

「え?」

「いや、そもそも断ろうと思えば断れたんじゃないかって、ずっと不思議に思ってたんだ」

それは、私の断れない性格がそもそもの原因だ。そんな風に不思議に思われても仕方がない。

「優香からパリメラの社長を紹介されたって聞いたとき、すごく驚きました。優香は父から大事にされていて仲もいいし、だからその話を断れなかったって言われて……なんか、自然と理解できたんです。でも、優香にはちゃんと恋人がいたし、私も彼のこと知っていて、すごくお似合いのふたりなんですよ」

事がうまくいかなければ、父が優香の恋人に良からぬことをするのではないか、勝手に父が決めた人と無理やり結婚させられるなんて納得いかなかったし、何より優香が恋人と幸せになることを望んでいた。

「優香にはほんと、昔から振り回されっぱなしで……」

水城さんはずっと私の話に耳を傾けてくれていて、だから、ちょっとした愚痴もついこぼしてしまった。

「そうか、妹さんと話をしたときも思ったけど、、君たちふたりは本当にお互いを思い合ってるんだな」
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