偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
「水城……? 水城って、もしかしてやっぱりあんた、パリメラの?」

目を丸くして驚きながら叔父がじっと水城さんを見る。

「おいおい、パリメラの若社長といつの間にそんな仲になったんだ? いやぁ、ちょくちょく見る顔だからもしかして……なんて思ってたんだよ」

「水城さん、今まで結構この店に来てたのに叔父さんったら、いまさら気づくなんて……」

「まさかうちみたいな小さな店にパリメラの社長が来るなんて思わないだろ?」

私のツッコミに叔父はボソッと言い訳をする。

「ところで叔父さん、水城さんのことどうして知ってるの?」

あまり他人に興味のなさそうな叔父さんなのに、彼を知ってるなんて意外……。

「飲食業やってて水城さんのこと知らなかったら、モグリぜ?」

モグリって……それだけ彼が業界では有名人ってことだよね?

いつまでも驚いている叔父に水城さんが爽やかな笑顔で挨拶を交わした。

「い、いやぁ、なんか改めて挨拶なんてされると照れるな」

叔父は緩んだ頬をカリカリと掻いて愛想笑いを浮かべている。

「ちょっと、叔父さんが照れてどうするの? あ、あのね、叔父さんには話しておくね。私、水城さんとお付き合いすることになって――」

「なんだ、それならそれで言ってくれよ、水臭いな。水城さんもここに座って、乾杯だ」

叔父の嬉しそうな顔を見ていたら、なんだか私まで嬉しくなってくる。
< 134 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop