偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
優香はアルコン広告社の社長である父に連れられてよく社交界のパーティーに出席していた。そんな華やかな世界で、どこぞの社長や御曹司と出会う機会があってもおかしくはない。優香は私と住む世界が違うのだから。
私はあまり雑誌やテレビも観ないし、実際パリメラの社長がどんな人なのか知らない。知っていることと言えば、一代でパリメラを築いたやり手の若社長ということくらいだ。
あれ? ちょっと待って?
お見合いと聞いて、ふと思い出す。確か優香には……。
「優香。確か今付き合ってる彼氏いたよね?」
「そうなのよ! それなのにお父さんったら、勝手に『いい人がいるんだ。紹介したい』なんて言って、話をつけてきてさ」
ああ。なるほどね、そういうことか……だんだん話の筋が見えてきた。
「結局、断れなかったってことね?」
「……うん」
優香はしゅんとして肩を落とした。
優香は一年前から大学の先輩で川野健太さんというベンチャー系広告代理店の社長と付き合っている。私も何度か優香と三人で食事をしたことがあったけれど、彼の笑顔には人柄の好さが滲み出ていて、優しくて気さくな好青年だ。
お似合いのカップルだからうまくいって欲しいと思っている。けれど、父が『いつ潰れるかもわからない会社の社長なんて許さん!』なんて言って猛反対しているようで、私もよく優香から愚痴を聞かされた。それに、奇しくも父と同業だからなおさら対抗心があるのかもしれない。
私はあまり雑誌やテレビも観ないし、実際パリメラの社長がどんな人なのか知らない。知っていることと言えば、一代でパリメラを築いたやり手の若社長ということくらいだ。
あれ? ちょっと待って?
お見合いと聞いて、ふと思い出す。確か優香には……。
「優香。確か今付き合ってる彼氏いたよね?」
「そうなのよ! それなのにお父さんったら、勝手に『いい人がいるんだ。紹介したい』なんて言って、話をつけてきてさ」
ああ。なるほどね、そういうことか……だんだん話の筋が見えてきた。
「結局、断れなかったってことね?」
「……うん」
優香はしゅんとして肩を落とした。
優香は一年前から大学の先輩で川野健太さんというベンチャー系広告代理店の社長と付き合っている。私も何度か優香と三人で食事をしたことがあったけれど、彼の笑顔には人柄の好さが滲み出ていて、優しくて気さくな好青年だ。
お似合いのカップルだからうまくいって欲しいと思っている。けれど、父が『いつ潰れるかもわからない会社の社長なんて許さん!』なんて言って猛反対しているようで、私もよく優香から愚痴を聞かされた。それに、奇しくも父と同業だからなおさら対抗心があるのかもしれない。