偽恋人からはじまる本気恋愛！～甘美な罠に溺れて～

ここで折れて全部話をすれば、優香にも川野さんにも、そして水城さんにも迷惑がかかる。それに逆上した父が何をするのか想像するだけで怖かった。

「最近、優香の動向がどうもおかしくてな、私も親としてこんなことをするべきではないのはわかっていたが謝恩会の日、優香に探偵をつけさせた」

「探偵……？」

「お前の所在も探偵に依頼してすぐにわかった。今、優香と一緒に住んでいることもな。ひどい親だと思うか？　けど、お前のしていることは私への侮辱だ」

父は優香を一切責めることを言わなかった。それは、優香は可愛い娘だからだ。怒りの矛先が私だけに向けられているのなら、それはそれでいい。けれど、父にとって私という存在は同じ娘であろうが不穏分子に過ぎないのだ。

「謝恩会の日までは優香とお前が入れ替わっているなどと、にわかに信じがたかったが……こうして物的証拠を出されては、私としても見逃すわけにはいかない」

父は時間を気にしているのか、何度も腕を捲っては時計をチラチラ見ていた。いつまでも私が黙っていることにもイラついているみたいだ。

「お前は水城君とどういう関係なんだ？」

逃げ場を失って狼狽える私に、父は核心をついた質問をぶつける。