偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
「樹さん……大好きです」

「ああ、俺もだよ」

それ以上、言葉はいらなかった。

甘い水音が部屋に響く。それをシオンが聞いていると思うと気恥ずかしかった。けれど、すぐにそんな余裕も感じることができなくなるくらいの情熱的な口づけに変わって、私は何度も吐息を漏らした。

「あ……ん」

口内を水城さんの舌が這い、開いた口から自分でも驚くような甘い声が出る。水城さんと何度も肌を重ねているというのに、今更だけど彼とのキスはいつだって新鮮だ。空調はついているはずなのに、次第にしっとりと汗ばんでくる。

「服、脱がすけど……ここでいいか?」

見ると、そこには艶を含んだ水城さんの瞳が揺れていた。

拒否する理由もない。だから、私はこくんと頷く。ひとつひとつ丁寧にブラウスのボタンを寛げられ、胸元がすっと外気にさらされる。先ほどまで膝の上にいたシオンは空気を読んでか、いつの間にかいなくなっていた。

「君の肌は甘いな……それにいつもいい匂いがする」

胸の谷間に唇を押し付けると、水城さんの熱い吐息がかかってビクッと身体がしなる。
ブラのホックを外されると、開放感とともにやんわりと押し倒された。背中に、首に、そして胸に彼の手が這い、私は恍惚と天井を仰いだ。ベッドよりソファのほうが手狭な分、身体と身体が密着してより興奮を掻き立てられる。

水城さんは私のすべてを預けられる人、すべてを受け入れられる人、すべてを愛せる人……。

私の全身で彼の熱を感じているうちに、今まで私の胸に巣くっていた不安や憂いが次第に霧散していくのがわかった――。
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