偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
よし! これで少しは水城さんの情報を引き出せる。うまく話を合わせればなんとかなりそう。
それから水城さんは神楽坂のマンションにひとり暮らししていて、大学卒業後はイタリアで過ごし、ミラノでシェフとして五年修業を重ねて店を出したとか、今は取締役として恵比須にある本社で経営の方に回っているなどの話をしてくれた。彼の口調は優しくて、穏やかで思わず聞き入ってしまうのが不思議だった。
「この間、仕事で北海道まで行ってきたんだ。東京じゃもうすぐ梅雨の時期だけど、あっちはまだ肌寒かったな」
「北海道までですか……遠いのに、大変でしたね」
「取引先の会社に挨拶に行ったんだ。仕事なのにいつの間にか観光になっていたけど」
そう言いながら笑顔で語りかける水城さんに、自然と私も笑みがこぼれる。
きっとお金持ちでいい暮らししてるんだろうなぁ……。私とは住む世界が違いすぎるよ。
ワイングラスを手にしただけで優雅な雰囲気が漂い、食事をする姿も上品でひとつひとつの所作が綺麗だ。育ちの良さが窺えて、そんなことを思ってしまう。
「店を出した時、君のお父様に少しお世話になってね、今でも懇意にしてくれてるんだ。それでうちの娘に会ってくれないか? って突然言われて驚いたけど、またこうして会ってくれて嬉しいよ」
なるほど……事の経緯はそういうことだったんだ。
水城さん、すごくいい人じゃない。優香も彼氏がいなかったら……水城さんと付き合っていたのかな。
なんてことをモヤッと考えてしまう。
「どうかした? なんだか考え込んでいるみたいだけど……もしかして、料理が口に合わなかったとか?」
考え事をして黙りこくる私を怪訝に思ったのか、水城さんが心配げに顔を覗き込んだ。
それから水城さんは神楽坂のマンションにひとり暮らししていて、大学卒業後はイタリアで過ごし、ミラノでシェフとして五年修業を重ねて店を出したとか、今は取締役として恵比須にある本社で経営の方に回っているなどの話をしてくれた。彼の口調は優しくて、穏やかで思わず聞き入ってしまうのが不思議だった。
「この間、仕事で北海道まで行ってきたんだ。東京じゃもうすぐ梅雨の時期だけど、あっちはまだ肌寒かったな」
「北海道までですか……遠いのに、大変でしたね」
「取引先の会社に挨拶に行ったんだ。仕事なのにいつの間にか観光になっていたけど」
そう言いながら笑顔で語りかける水城さんに、自然と私も笑みがこぼれる。
きっとお金持ちでいい暮らししてるんだろうなぁ……。私とは住む世界が違いすぎるよ。
ワイングラスを手にしただけで優雅な雰囲気が漂い、食事をする姿も上品でひとつひとつの所作が綺麗だ。育ちの良さが窺えて、そんなことを思ってしまう。
「店を出した時、君のお父様に少しお世話になってね、今でも懇意にしてくれてるんだ。それでうちの娘に会ってくれないか? って突然言われて驚いたけど、またこうして会ってくれて嬉しいよ」
なるほど……事の経緯はそういうことだったんだ。
水城さん、すごくいい人じゃない。優香も彼氏がいなかったら……水城さんと付き合っていたのかな。
なんてことをモヤッと考えてしまう。
「どうかした? なんだか考え込んでいるみたいだけど……もしかして、料理が口に合わなかったとか?」
考え事をして黙りこくる私を怪訝に思ったのか、水城さんが心配げに顔を覗き込んだ。