偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
会いたい気持ちが伝わったのかも……。なんて思うと急に鼓動が高鳴りだす。

『今、中野の近くに仕事で来てるんだ。あと少しで終わるんだけど……君さえよければ今から会えないか?』

「ほんとですか! あ、はい。今、まだ新宿なんですけどすぐに帰ります」

『急がなくていいから、じゃ、また』

通話終了をタップする。この喜びをどう表現したらいいのかわからず、ただスマホをふるふると握りしめた。

水城さんに会えるなんてっ! しかも今から!

店にお客さんがいる中、うっかり万歳ポーズをしそうになってしまう。

ん? でも待てよ? 水城さんと会うってことは……この顔じゃだめだよね?

今の私は愛美だ。水城さんの前では優香でなければならないことを思いだし、私は慌てた。

「叔父さん、もう帰るね! ご馳走様」

「おう、気をつけて帰れよ」

叔父に見送られながら店を後にすると、私は駅の方へ向かって歩き出した。
< 41 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop