偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
「ただいまぁ」

家に帰ると部屋は暗く、優香はまだ帰ってきていないようだった。

最近、優香は残業続きで帰宅も遅い。落ち込んでいる今、あまりあれこれ詮索されたくないし、返って都合がよかった。

梨花さんって、綺麗でピアノも素敵でいい人だって思ってたのに……あー! なんかムカつく!

バッグをソファに投げ捨てるように置いて、何度もため息をつく。

刺々しい言い方ではなかったものの、梨花さんの言葉は今でも私の胸に突き刺さっている。このままでは眠れない。

私はむしゃくしゃしたうっぷんをなんとかして晴らそうと、冷蔵庫をガバッと開けた。
冷蔵庫の中には、優香が買い込んでいた缶チューハイやらビールが数本並んでいた。私は迷わずチューハイを手に取り、プルタブを開けて勢いよくグビグビと飲み始めた。

優香も水城さんも梨花さんもなんなの……私、踊らされてるだけ?

もう、誰を信じていいのかわからないよ……。

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