偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
「とにかく、水城さんのこと信じてあげて。それに、今日は大事な話があるんだから、ほら水」
その“大事な話”の前に少しでも酔いを醒まそうと優香がキッチンから水を持ってきた。
「大事な話? また頼み事? 私、もうそんな気分じゃ――」
優香が手にしている水を無視して、最後のもうひと口を飲もうと缶に手を伸ばした時だった。優香が水の入ったグラスをテーブルに置いて徐に口を開く。
「来月の話なんだけど、私ね、お父さんが主催する謝恩会に水城さんと招待されてるの」
「ふぅん、謝恩会……えっ!?」
今、水城さんと……って言った?
缶に伸ばす手を止め、私は咄嗟に優香を見た。アルコールで緩慢になっていた酔いがスッと醒める。
「うちの会社の周年行事なんだけど、水城さんも取引先の社長として同席することになってる」
は……はぁ!? もう、なにそれ……どうせそれも私に行けって言うんでしょ。
優香はそれを前提で話している。その証拠にまた小悪魔的な“お願い”の顔をして私を見ていた。そんな顔をしてお願いされたら、また断り切れない性格が疼きだす。
なんだかクラクラしてきたよ……さっきも店で少し飲んだのに追い酒なんかしたせいだ。
「きっと、お父さん、そこで自分の娘と水城さんが付き合ってるってみんなにお披露目したいんだと思う。ドレスとかバッグとか靴とか全部私の貸すから、そこは安心して」
そんなパーティーに行けるようなドレスや靴なんてないし……と思っているところへ間髪入れずフォローされる。まだ、行くとも返事をしていないのに話が勝手に進んでいく。
「あのねぇ、そんな会社の謝恩会なんて私行ったことないし、今度こそ優香じゃないってバレたら――」
ん? 待てよ……よくよく考えたら、これはいい機会かも?
その“大事な話”の前に少しでも酔いを醒まそうと優香がキッチンから水を持ってきた。
「大事な話? また頼み事? 私、もうそんな気分じゃ――」
優香が手にしている水を無視して、最後のもうひと口を飲もうと缶に手を伸ばした時だった。優香が水の入ったグラスをテーブルに置いて徐に口を開く。
「来月の話なんだけど、私ね、お父さんが主催する謝恩会に水城さんと招待されてるの」
「ふぅん、謝恩会……えっ!?」
今、水城さんと……って言った?
缶に伸ばす手を止め、私は咄嗟に優香を見た。アルコールで緩慢になっていた酔いがスッと醒める。
「うちの会社の周年行事なんだけど、水城さんも取引先の社長として同席することになってる」
は……はぁ!? もう、なにそれ……どうせそれも私に行けって言うんでしょ。
優香はそれを前提で話している。その証拠にまた小悪魔的な“お願い”の顔をして私を見ていた。そんな顔をしてお願いされたら、また断り切れない性格が疼きだす。
なんだかクラクラしてきたよ……さっきも店で少し飲んだのに追い酒なんかしたせいだ。
「きっと、お父さん、そこで自分の娘と水城さんが付き合ってるってみんなにお披露目したいんだと思う。ドレスとかバッグとか靴とか全部私の貸すから、そこは安心して」
そんなパーティーに行けるようなドレスや靴なんてないし……と思っているところへ間髪入れずフォローされる。まだ、行くとも返事をしていないのに話が勝手に進んでいく。
「あのねぇ、そんな会社の謝恩会なんて私行ったことないし、今度こそ優香じゃないってバレたら――」
ん? 待てよ……よくよく考えたら、これはいい機会かも?