偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
第四章 暴露された秘密
関東もようやく梅雨入りして、毎日ジメジメとした気候が続いている。今日もどんよりとした分厚い雲に覆われて、すっきりしない一日だった。
水城さんから電話やメールが来るけれど、仕事がかなり立て込んでいるらしく会うことすらままならないでいた。
水城さんは『会いたい』って言ってくれるけど……。
会いたいけれど会いたくない。
週刊誌のことがまだ頭から離れず、そんなジレンマをずっと抱えて半月が経とうとしている。それに、今週末行われる謝恩会もどうやって水城さんに“お断り”の返事をしようかその言葉に頭を悩ませていた。
「それでね、この人がお父さんと一番仲がいいムラノ食品の社長で……」
謝恩会に向けて、私は毎晩仕事が終わってから父と交流のある親しい面子を優香からレクチャーされていた。優香とも面識のある人の情報はちゃんと押さえておかないとボロが出る。私は謝恩会を完璧に“有坂優香”としてこなすため、全部教えられたことは余すことなくメモに取った。
「わかった。村野社長ね、それから?」
はい、次。と優香を促したその時だった。
「愛美、スマホ鳴ってるよ」
聞こえてくる着信音に優香が気づいて、私は一旦レクチャーを中断すると部屋に戻ってバッグからスマホを取り出した。
わっ、水城さんからだ!
水城さんから電話やメールが来るけれど、仕事がかなり立て込んでいるらしく会うことすらままならないでいた。
水城さんは『会いたい』って言ってくれるけど……。
会いたいけれど会いたくない。
週刊誌のことがまだ頭から離れず、そんなジレンマをずっと抱えて半月が経とうとしている。それに、今週末行われる謝恩会もどうやって水城さんに“お断り”の返事をしようかその言葉に頭を悩ませていた。
「それでね、この人がお父さんと一番仲がいいムラノ食品の社長で……」
謝恩会に向けて、私は毎晩仕事が終わってから父と交流のある親しい面子を優香からレクチャーされていた。優香とも面識のある人の情報はちゃんと押さえておかないとボロが出る。私は謝恩会を完璧に“有坂優香”としてこなすため、全部教えられたことは余すことなくメモに取った。
「わかった。村野社長ね、それから?」
はい、次。と優香を促したその時だった。
「愛美、スマホ鳴ってるよ」
聞こえてくる着信音に優香が気づいて、私は一旦レクチャーを中断すると部屋に戻ってバッグからスマホを取り出した。
わっ、水城さんからだ!