偽恋人からはじまる本気恋愛！～甘美な罠に溺れて～

あくまでも誤魔化し通すつもりなのか、それとも本当に間違いだったのか、私も真実を知りたい。けど……怖い。

「週刊誌に水城さんと梨花さんがすっぱ抜かれてる写真が載ってたでしょう？　ほかにお付き合いされてる方がいるのに、どうして私に本気だなんて言ったんですか？」

“私、そんな人とはお付き合いできません！”

ビシッとそういうつもりだったのに、いざとなったら言葉が喉の奥に詰まって出てこない。

「週刊ウェンズデーって、ゴシップ記事だろう？　仕事柄、ありとあらゆる雑誌や新聞には目を通すけど、あいにくそういう類の雑誌は読まないんだ」

徐々に重苦しい雰囲気になってくる。唐突な私の言葉に水城さんの表情に笑顔はない。
ふたりの間に長い沈黙が訪れる。

「週刊誌に何が書かれていたか知らない。けど、君のことを本気だって言ったのは――」

「あら、樹じゃない？」

水城さんが言いかけたそのときだった。

「梨花……？」

その声のほうを向くと、水城さんは一瞬目を見開いた。

ど、どうしてここに梨花さんが？

――絶体絶命。

その四文字熟語が全身にのしかかった。
こちらへ歩み寄ってくる梨花さんに挨拶も忘れて頭が真っ白になる。