似た者同士の恋物語
ぐすぐすとひとり泣いてる私の隣に


ふと誰かの気配


『……大丈夫?』


……しゃがみこんで

心配そうにそう声をかけてくれたのが

鴻鳴先輩だった


『…』


こんな、小さくなって木の影で泣く自分を
見つけてくれる人がいるなんて思わなくてびっくりして

驚いたけど、一度決壊した涙腺を止めることは出来なくて

声も返せずそのままぽろぽろ泣く私に
鴻鳴先輩は少し焦ってた


『と、とりあえず
ハンカチとかじゃなくて悪いけどこれ使って』


わたわたとカバンから取り出したタオルを私に差し出した


『使ってないから』

『…』


そろそろと受け取る私に鴻鳴先輩は少しほっとしてた


『………一年生だよね?
何か…………あったから泣いてるのか』

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