似た者同士の恋物語
三崎と初めて会った日



偶然

あの場所で泣いてる三崎を見つけて


かなり悩んだ



人目を避けるように
桜の木の陰で体を丸めて震えてる女の子



見なかったふりをして
その場を後にすることも出来た


最初はそうしようと思った



もともと俺はそういう面倒な事が苦手なタイプだったから


自分がそういう事にうまく対処できる人種じゃないって解ってたから


変に介入して
火に油を注ぐように事態を悪化させたり


相手の気持ちを掻き回すような事をしてしまうかも知れないって思ったから



けど



『……っ、ふ……っえ……』



押し殺すような嗚咽が


苦しそうな泣き声が耳にこびりついて離れなくて
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