似た者同士の恋物語


……降りだしそうだな


灰色の淀んだ空を見上げて思う



「……そろそろ来るかな?」


視線を戻すと
ちょうどこちらに駆け寄ってくるあの子の姿


「鴻鳴先輩」


……慌てて駆け寄ってくる姿がかわいい
俺を見つけて表情を和らげるところも



「お疲れ。帰ろうか」

「……はい」


顔がにやけないように気を付けながら
彼女に声をかける


歩きだした瞬間

ぽつりと頭に冷たい感触


「あ、降ってきたね」
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