似た者同士の恋物語
「……あ、傘……」


空を見上げた三崎ははっとしたように呟く

様子から察するに
どうやら傘を持ってきてなかったみたいだ





俺はカバンから折りたたみの傘を取り出して開く
それを少し三崎に傾けながら声をかけた



「俺持ってきてた
……折りたたみで狭いけど嫌じゃなかったら」



三崎は一瞬、きょとんとした顔で俺を見上げて

少しだけためらうように沈黙した後、おずおずと頷いた



……断られたら地味にショックだったから、少しほっとした

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