幕末パラレル物語
表と裏と、
玉響
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『人を斬るのってどんな気持ちなの?』
幼い少女の問いに、笠を深くかぶった男は驚いたように振り返る。
その頬には返り血がついていた。
右肩を押さえ尻餅をついていた男は、その隙に一目散に逃げ出す。
『ねぇ、どんな気持ちなの?』
初めて血を見た少女の目には、怯えも嫌悪もなかった。
笠の男は、とっさに言葉がでない。
と、猫っ毛の男がこちらに走ってきた。
『無事か。…どうした?』