幕末パラレル物語
山南side


天李さんは、一瞬愛おしそうに眺めてから銃を私の手に乗せた。


相当大事にしているらしい。


小さな見た目にそぐわないずっしりとした重みを感じながら、それを眺める。


写真や絵でしか見たことのないこの型。


やはり…。


「西洋式、ですよね?」


「ええ。まだ日本にはほとんど入ってきていない型…気がつくならあなただけだと思っていたわ」


澄ました顔で答えている彼女に、開き直っている感じはない。

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