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「お疲れ様。
相変わらず校長先生の話長かったよね」

「マジそれな!
高校3年にもなって、交通ルールの話を長々聞かされんのは勘弁だわ〜」

そう言って彩音は、立つのすら面倒臭いと言わんばかりに恋にもたれかかった。

今は夏、幸い冷房の効いた電車の中でもたれかかるのは良いが、炎天下の暑い中で同じことをやられたら、汗止まらないんだろうな、と恋は頭の片隅で考えていた。

彩音は席が空いていることを恋に伝え、座ろうとするが、恋は動こうとはしなかった。

「私、座りたくない。
彩音ちゃん座ってなよ」

「え、何で座らないの?
疲れない?」

「空、見たいからさ」

「空ぁ?」

恋曰く、座ってしまうと見えにくくなってしまうらしい。

空を見るために立っている人間なんて、片手で数えるくらいしかいないだろう、と彩音は思った。
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