君のとなりで恋をします。─上─











「言われなくても、今日は行く。」









いつも気だるそうで不真面目な桜河だけど、実はこう見えても水泳部の期待の星。

小さい頃から水泳をやっていて、全国大会に出場するほどの実力の持ち主だ。





桜河の実績なら、もっと水泳の強豪校からも声がかかっていたはずなのに…

それを蹴ってまでこの学校に入学したのは、光雄じいちゃんとヨシ子ばあちゃんのためなのかもしれない。



家から通える高校で、 二人のそばにいようって…











「きゃっ!ねぇ見て!

黒瀬くんがいるよ!」





「え〜!かっこいい!!

…ねぇ、声かけてみる!?」






「やめとこうよ。


だって一緒にいるの、影山くんだよ?

怖いじゃーん…。」









遠巻きからこちらを見ながら、ヒソヒソと話す女の子たちの声が聞こえる。


たしかに桜河は目つき悪いし、無愛想だし、体もデカいから…

怖がられるのもわからなくはないけど…




桜河のこと何も知らないくせに…

イメージや想像だけで勝手に桜河の悪口を言う彼女たちがどうしても許せなかった。












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