君のとなりで恋をします。─上─
「ちょっと──────……」
私が声を発しかけると、背後から大きな手に
口を塞がれる。
「んー!んんーー!」
「ほっとけよ あんなの。
…めんどくせぇ。」
チッっと軽く舌打ちをした桜河に怯えて、走り去って行った女の子たち。
「ちょっと、なんで止めるの!
腹立つじゃん、ああいうの!」
「相手にすんのもめんどくせー。」
「でも…ああいうのは否定しないと!
あることないこと噂になってるよ?」
「うん、俺もそう思う。
桜河、こんなにいい奴なのに…。」
私の意見に賛同する柊吾。
いいぞ柊吾!もっと言ってやれ!
「噂…?たとえば?」
「他校の生徒10人くらいと喧嘩して、全員病院送りにした、とか?」
「あー、こんなのもあったな…。
中学の頃は学校の番長で、舎弟が50人いたとか。」
「全校生徒20人しかいない学校でか?
…馬鹿馬鹿しい。
そんな噂、別に気にしねぇよ。」