君のとなりで恋をします。─上─
「香純。何してんの?
早く入ろう。」
「あ…ごめん、ぼーっとしてた。」
「ははっ、またキャプテンに怒られるよ?」
そう言って笑った柊吾に胸が高鳴る。
本当は、選手は練習が始まる5時までは体育館に来なくていいのに…。
毎日毎日、練習前にモップ掛けをする私に合わせてくれる柊吾。
物心着いた時にはそばにいて、ずっとずっと好きだった柊吾。
たしかに柊吾はみんなに優しいけど…
ここまでしてくれるのは、少しは私のことを
特別だって思ってくれてるからって…
…期待してもいいのかな…?
いつかこの気持ちを伝えられたらいいな、なんて思うけど…
…この関係が崩れてしまうのが怖い。
「柊吾。」
「ん?」
「…何でもない!」
「ははっ、何それ。」
今はただ、隣でこの笑顔を見てられるだけで十分幸せです。
そんな風に逃げ腰になってしまえ自分に、ため息をついた。