君のとなりで恋をします。─上─
「あ…着いちゃった……。」
気づけばもう家の前。
あーあ…。
好きな人と一緒にいる時間って、どうしてこんなにも短く感じるんだろう。
「送ってくれてありがとう。
毎日毎日…遠回りなのにごめんね?」
柊吾は部活がある日は、ほとんど毎日家まで送ってくれる。
同じ町に住んでるって言っても、ここから柊吾の家まで10分程歩かないといけない。
「なんか香純、謝ってばっかり。
俺は〝ありがとう〟の方が嬉しいな。」
そう言って微笑む柊吾を見ると、もう少しだけ一緒にいたいという気持ちが大きくなってしまう。
…でも、私は彼女じゃないから…。
そんなわがまま、言えるわけなくて…
「ありがとう…柊吾。おやすみなさい。」
自分の感情を押し殺して微笑む。