君のとなりで恋をします。─上─
「もう平気だよ。」
桜河が話を聞いてくれて、心も随分軽くなったし…
それに……
「柊吾を信じる。
……その代わり…
裏切ったらタダじゃ置かないからね?」
冗談っぽくそう笑うと、柊吾は少し複雑そうな表情で笑った。
「ありがとう…。」
彼はぎこちなく、まるで私の存在を確かめる
ようにそっと抱き締める。
私も、そんな彼の背中に腕を回した。
柊吾にとって桃奈さんはただの親戚。
昼間のあれは、桃奈さんのただの冗談で…
柊吾が弁明しようとしないのは、彼女の複雑な事情を簡単には話せないから。
頭の中で何度も何度も、自分にそう言い聞かせた。
大好きな人の温もりに包まれている今、すごく幸せなはずなのに……
何故か心がザワついていた。