君のとなりで恋をします。─上─
こんにちは。
ただいま紅羽学園男子バスケ部、3泊4日の合宿の真っ只中です。
「お疲れ様です!
…どうぞ、濡れタオルです。」
私はホイッスルが鳴るなり、走って選手たちにタオルとドリンクを渡しに行く。
そして休憩中でコートが空いている間に、急いでモップをかけて…
「成宮…ヘルプ!
俺、突き指したっぽい…。」
「え!?
まっつん、大丈夫!?」
痛そうに指を押える選手の元に、テーピングを持って駆け寄る。
彼は ‘ まっつん ’ こと松井岳(マツイ ガク)。
バスケの試合の観戦チケットをくれて、私達のキューピットになったのもこの人。
「どこ?」
「…中指。」
「曲げれそう?」
私の問いかけに、彼は顔をしかめながらも何度か指を曲げてみせる。