君のとなりで恋をします。─上─
「ちょ…桜河!」
慌てて追いかけて彼の腕を掴む。
しかしそれは、すぐさま振り払われて…
「…放せよ!」
「っ────…」
その時の桜河の悲痛な表情に、私はそれ以上何も言えなかった。
…悲しみ。孤独。絶望。憎しみ。
怯んでしまうほどの険しい表情。
だけど…
今にも壊れてしまいそうなほど脆くて…
どうしよう…。
完全に怒らせた…。
ただ、恋人への礼儀として、けじめをつけたかっただけなのに…
私、何を間違えた…?