君のとなりで恋をします。─上─
「あんた、暇さえあればいっつも桜ちゃんの所にいるじゃない。」
お母さんの言葉に、無意識に体が反応する。
桜河……
私たちより1日前には合宿から帰ってきているはず。
でもあの夜から一度も顔を合わせてないし、
連絡も取っていない。
「何?お前、桜河くんと喧嘩でもしたの?」
「喧嘩なんてしてないよ。」
いや、あれは喧嘩なのかな…?
あの時桜河、怒ってたし…
「まぁ…もし喧嘩してたとしても、俺は桜河くんの味方だけど。」
鼻で笑ってこちらを見下ろす楓真。
…このガキ。生意気な…
楓真は何故か、昔から桜河のことが大好き。
桜河に憧れて水泳を始めちゃうくらい。
姉である私に対してこんなに生意気なのも、
もしかして桜河の真似!?
…だとしたら、許さん桜河。