君のとなりで恋をします。─上─
「あ…」
玄関を出て早々、桜河とばったり鉢合わせる。
隣の家だもん…
こんなこと、別に珍しくはない。
でも…桜河、まだ怒ってるかな?
何だか気まずいな…
「おー。お疲れ。」
私の心配とは裏腹に、桜河はいつものように気だるそうに片手を上げた。
もう怒ってないのかな…?
「お疲れ様。……部活だったの?」
「いや、自主練。」
「へー。珍しいね。」
「今、何となく調子が戻りそうだから。」
「そっか。よかったね。」
いつも通りの会話。
お互いに笑って、他愛もない話をする。
だけど、二人の間には確実に壁があった。
一線引いた、少しだけぎこちない距離感。