君のとなりで恋をします。─上─
融解…
「お待たせしましたー。
アイスコーヒーといちごみるくラテです。」
この町で唯一のコーヒーショップ。
ドリンクを受け取り、二人がけの席に彼と向かい合って座る。
「ごめんね、突然呼び出して。」
「いや…会ってくれてありがとう。」
少し気まずそうに俯きながら、アイスコーヒーをストローでかき混ぜる柊吾。
たった数日間会話をしなかっただけで、何だか久しぶりに会った気分だ。
「…桃奈の話…だよな。」
ぽつりとそう呟く柊吾に、私は大きく首を縦に振った。
「そうだよ。
…もう、〝理解ある彼女〟を演じるのはやめようと思って。」
私はそんなに出来た人間じゃない。
彼女の存在を気にしないなんて、私には無理だった。