君のとなりで恋をします。─上─
「いくら相手が泣いていたとしても、あの距離感はさすがに…良い気はしない。」
「…そうだよな。ごめん。」
二人の間に気まずい沈黙が流れる。
まるで、別れ話をする恋人達のような…
そんな空気感だった。
…私も少し落ち着こう。
柊吾を責めたいわけじゃない。
私は、一度大きく深呼吸をする。
「…もう一つだけ、聞いていい?」
「うん。」
「桃奈さんと…その…
体の関係を持ったことは?」
あの海での桃奈さんの意味深な発言。
〝でも彼女さん、大変でしょ?〟
〝 柊くんって奥手そうに見えて…
──────キスも、夜も激しいし♡〟
あの時は聞けなかった。
だけど、ずっと頭の中で引っかかっていて…
真実を知ったからって、今更どうにかなるわけでもないけど…
確かめない限り、たぶん私はずっと柊吾のことを疑い続けてしまう。